東京都立大による運動効果の検証

  1. トップ
  2. 研究・実績
  3. 運動効果の検証

スペースワンダー®による体幹上下運動における体重負荷および下肢関節間力への影響

<スクワット運動の場合> スクワット動作は、下肢筋力増強の目的だけでなく、固有感覚に刺激を与え、転倒予防に重要な下肢全体の協調性向上も期待できる運動である。しかしながら、高齢者では筋力の低下から代償的に浅い(重心位置の高い)スクワットになりやすく(先行研究より)、十分な下肢全体の協調性を発揮することができない。>スペースワンダー®を用いることで、スペースワンダー®未装着時に比べ深い(重心位置の低い)スクワットを安全に行うことができ、高齢者の下肢全体の協調性向上を期待できる。

スクワット動作は膝関節の屈曲角度が大きくなるほど、膝関節への負荷が大きくなることが報告されている。>スペースワンダー®はしゃがみ込みの角度が深くなるほどハーネスによる張力が増加し、免荷率が上昇するため膝関節への負担が少なく行うことができる。

<ランジ運動の場合> ランジ動作は動作対象となる下肢を前方へ出し、ステップした前脚に荷重をかけていくことで、下肢の筋力強化やバランストレーニングとして利用される運動療法の一つである。地域在住高齢者における転倒の原因は「つまづき」が全体の40%を示し、転倒方向は前方が全体の70%を占めている。前方への転倒を防ぐためには、前方ステップ動作が生じることが重要とされている。しかしながら、ランジ動作はステップ幅が増加するほど膝関節へのストレスが増加することが報告されている。また、高齢者では筋力低下や転倒の危険性から、一般的にランジ動作のステップ幅は小さくなる傾向にある。>スペースワンダーを用いることで、高い免荷率による膝関節への負担を軽減するとともに、安全に大きなステップ幅でランジ動作を行うことができる。そのため、通常の運動に比べより効果の高い転倒予防の運動として期待ができる。

<総合評価> スペースワンダー®を使用することで、体幹の上下運動を伴う介護予防運動においては通常時と比較して下肢関節の圧縮力を減少する効果があることが分かった。特に股関節にかかる圧縮力の減少が有意に高かった。スペースワンダー®はゴムによる牽引が行われるため牽引力を柔軟に調節できるという利点がある。またハーネスによる体幹部の固定は転倒予防に繋がり安全性が高い。スペースワンダー®を使用した運動は、デイサービス利用者の介護予防プログラムに有用である。

東京都立大学健康福祉学部理学療法学科
山田・来間研究室報告書より
※詳細は研究報告書をご覧ください。